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気づき

「予測する心」ヤコブ・ホーヴィ著という本を最近読んでいました。
この本の主張は、生物の知覚体験は、感覚入力から外界を予測することで成立しているというものです。
例えば、ある音が聞こえたとして、それがなんなのかを予測(或いは推測と言った方が良いかも知れません)するのことが知覚体験の本質ということです。そしてその外界の実体との予測誤差をより少なくすることが、正確な認知、外界把握、気づきに至り、変化する環境の中で生き抜く力につながっていく。「気づき」という言葉を私も良く使いますが、予測と感覚入力との誤差から、新たな予測を作り出すことが所謂「気づき」ということなのでしょう。
これは、我々が外界などを直接認知することは出来ず、捉えたと思った世界像は自らが間接的に作り出した自己の認識世界に過ぎないという、仏教の唯識の理論によく似ています。著者はまた、このメカニズムによれば、私たちは自然の因果的機構における単なる歯車であり、感覚入力のベールに隠された、外界に対置される精神の孤島であると理解できると述べています。神経科学が進歩が、仏教的叡智に接近したということなのでしょうか。
開院6周年を迎え、日々の診療を、お互いの心を柔軟に保ち、新たな気づきへと誘う場へとして行けるように、努力し続けたいと思います。

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